交通遺産をめぐる

隧道,橋梁,廃道などの交通に関する土木遺産を探索し,「いま」の姿をレポートしています.レポートマップはトップページにあります.

上勝町道剣山線 大北橋 (2022. 9. 30.)

徳島県上勝町剣山スーパー林道上の赤いポニートラス橋.

 

霊峰剣山を抜ける長大林道・剣山スーパー林道徳島県上勝町を起点とするが,そこから4kmほどの地点に,勝浦川を渡るポニートラス橋が架かる.大北橋である.

場所: [33.913429, 134.377950] (世界測地系)

 

この辺りには本橋の他にも (旧) 角屋橋,落合橋とポニートラス橋が集まっている.ポニートラスが大好きな私にとっては見逃せない.2022年9月30日,現地を訪ねた.

 

角屋橋を渡ってスーパー林道に入り,いったん大北橋を通り過ぎて50mほどのところに少し広い路肩がある.そこにレンタカーを駐車した.

 

まずは車を停めた左岸側から.

大北橋,昭和34年 (1959) 竣工,平行弦ポニーワーレントラス橋.

 

この頃がちょうどリベットによる接合方式から溶接への転換期だったようだが,本橋はリベット接合である.点々と並ぶ鋲頭が美しい.

 

すぐ背後には町営バスの停留所がある.

一日2往復.

 

バス停の裏に面して上っていく道がある.そこから大北橋を見下ろすことができた.

このような角度から橋を眺められることは意外と少ない.路面からは見えない上弦材の上面にもびっしりリベットが打たれていることがわかる (当たり前だが).

 

橋を渡って対岸へ.

右岸側からの景.

 

こちら側には橋を渡らずに分岐して上流側に延びる道があり,本橋の良い視点場となっていた.

 

橋台は当然の如くコンクリート製.

 

親柱はなかった.まぁ林道の橋であれば珍しいことではない.鋼橋には付き物の製造銘板も (実際になかったかはともかく) 見つけられなかった.おかげでどこで製作されたかはわからない.

 

剣山スーパー林道は昭和47年 (1972) 着工,同60年 (1985) 開通であるから,昭和34年 (1959) 竣工の本橋はそれより前からあったことになる.おそらく当時は普通の林道の橋として架設され,後年になってスーパー林道の一部に指定されたのであろう.

 

深緑の渓谷に映える赤鉄橋であった.