4月20日・21日は愛媛を旅していた.このうち20日は,レンタカーで合計5つの隧道を巡った.最初に訪れたのは,西予市宇和町にある「三瓶 (みかめ) 隧道」である.
大阪から夜行バスに乗り,20日朝に八幡浜に着いた.朝食を済ませ,レンタカーを借りる.車種は指定していなかったが,白のルーミーであった.これならある程度狭い道でも大丈夫そうだ.
※この写真は記事の内容とは別の場所で撮影した.
笠置トンネルを「京都にも同じ名前のトンネルがあるなあ」などと思いながら抜け,その先を右折して愛媛県道260号に入る.途端に道が狭くなり,山道が始まるところで,地図にない分岐が現れた.
直感的に,左が隧道に繋がる平坦な道,右が峠を越える旧道だと思った.しかし,考えてみればまだまだ隧道の高さには程遠い位置であった.正解はGoogleカーも進んでいる右の道で,間違えて左に進んだ私は,ルーミーがギリギリ通れる幅の道をぐるっと回って再びこの場所に戻ってきた.二度目はもちろん間違えなかった.
そこから1.5車線ほどの幅の山道を登って行くと,目指す三瓶隧道の北側坑門が姿を現した.
三瓶隧道.大正6年 (1917年) 竣工,近代土木遺産 (Bランク),登録有形文化財 1.御年104歳だが,旧道とはいえまだまだ現役である.坑門は切石と煉瓦を併用しており,意匠は異なるが千早洞を思い出した.幅の狭い坑門にも関わらず迫石・ピラスター・帯石を全て備えているのは意匠上のこだわりか,それとも技術的に必然であったのか.
扁額もしっかり残っている.素晴らしい!
右書きで「三瓶隧道」.苔生しているが,文字ははっきり読み取れる.
入洞する前に,北側坑門脇にあった廃れた道路標識.
すごく良い….左の看板は「三瓶トンネル MIKAME TUNNEL」その下は判然としないがおそらく長さ(320M?) であろう.右の標識は駐車禁止だろうか?そして注目すべきは標柱に貼られた「愛媛県」である.この隧道は現在市道だが,新三瓶トンネルが開通した昭和63年頃までは県道であった 1 とのことなので,その頃に設置された標識であろう.
さて,洞内へ.
見渡す限りの美しい煉瓦積み.経年故の白化は見られるものの,コンクリ等による補修はなく,非常に良好な状態である.
最後に,南側坑門.
こちら側はよく陽が当たって明るい印象である.扁額も北側より明瞭に読み取れる.
結局一度通過しただけでは飽き足らず,もう一度南側から入洞し,北側で向きを変えて折り返してきた.この後の予定がややタイトなことを自覚しつつも1.5往復してしまうほど,素晴らしい隧道であった.
おまけ
八幡浜港の市場に併設された食堂で頂いた朝食.
朝から最高であった.
参考文献
- 西予市教育委員会スポーツ・文化課 (2018) "国登録 三瓶隧道" 2021年4月29日閲覧.