交通遺産をめぐる

隧道,橋梁,廃道などの交通に関する土木遺産を探索し,「いま」の姿をレポートしています.レポートマップはトップページにあります.

京都市の (旧) 二ノ瀬橋 (2021. 3. 31.)

f:id:myaurroi2:20210429134910j:plain

前回の記事の続き.西塔橋を後にした私は,次に鞍馬に眠る廃橋を訪ねた.

 

八瀬比叡山口駅から叡山電車に乗り,宝ヶ池で鞍馬線に乗り換えた.市原から先が不通であったため京都バスに乗り換えて,二ノ瀬で下車.目的地は少し戻ったところで鞍馬川を渡る二ノ瀬橋の旧橋であるが,廃されてなお圧倒的な存在感を誇っている.

f:id:myaurroi2:20210429134959j:plain

旧二ノ瀬橋.土木学会鋼構造委員会による鉄の橋百選記事によると,大正3年 (1914年) 製の鉄骨コンクリートトラス橋で,非常に珍しい構造とのこと.

 

橋上の路面はおびただしい量の草藪に覆われ,まるでジャングルである.

f:id:myaurroi2:20210429135456j:plain

どう見ても橋の上の写真ではない.現橋の竣工が昭和38年 (1963年) であるから,この橋が廃橋となってから約60年が経過している.ちなみに上述した鉄の橋百選の記事には1991年の写真があり,その頃も多少草生しているようだが,現在の状況はその比ではない.

 

近くに河原に降りられる斜面を見つけ,橋の下へ.

f:id:myaurroi2:20210429135543j:plain

f:id:myaurroi2:20210429135550j:plain

うーむ,かっこいい.

 

トラス部の腐食は著しい.

f:id:myaurroi2:20210429135622j:plain

f:id:myaurroi2:20210429135624j:plain

上述記事 (1994年) には

橋本体は鉄骨部分の腐食が進み、コンクリートもところどころはげ落ちている。このままでは早晩撤去されなければならない日がくると思われる。何らかの救済処置が必要であろう。

とか,

廃道になり,荒れるにまかされている。

と書かれている.記事が書かれてから約30年経つが,形を留めていること自体がすごいことと思われる.

 

真横に架かる現・二ノ瀬橋.

f:id:myaurroi2:20210429135700j:plain

こちらも竣工から60年が経過し,年季の入った雰囲気を醸し出している.

 

最後に現道からもう一度.

f:id:myaurroi2:20210429140017j:plain

やっぱり迫力がある.紅葉の時期はもっと美しいだろうな.

おまけ

行きの鞍馬線の電車で見たゆるゆりの広告.

f:id:myaurroi2:20210429140037j:plain

かわいい.