この日は午前中に大阪市の十三橋を訪ねた後,一気に播磨地方に移動して,JR播但線沿いの交通遺産を巡った.
大阪からの特急はまかぜ号で姫路から播但線に入り,最初の停車駅・福崎で下車.駅の直前で市川水系の七種川 (なぐさがわ) を渡るのだが,そこで鉄道橋の真横に寄り添うように架かる道路橋が気になっていた.
福崎駅から線路沿いに南下する.今日もよく晴れている.早くも汗だくになりながら,歩くことおよそ500m.目指す橋の北詰に到着した.
北詰からの景.背の低いRC高欄は私の大好物だ.
親柱は美しい御影石造り.北西 (左岸上流側) の親柱には「七種川橋」の題額.シンプルな橋名が,長い歴史を表しているのかもしれない.
北東側 (左岸下流側) の親柱には「昭和十年二月改築」!見た目から受ける印象通り,戦前生まれだった.
高欄.半円型の開口部を連ねた意匠となっている.
横から.3径間のRC桁橋だ.
橋梁補修あるいは治水工事の結果だと思われるが,本橋付近の河川敷は刈払いされていた.川底に落ちる斜面も緩やかで,難なく橋の下に立つことができた.
下流側の河川敷からの景.やはり高欄が良い仕事をしている.小さな半円型の窓のおかげで軽やかな印象だ.
桁裏.4本の主桁が床板を支えている.中央2本の主桁の間に横桁のようなものが見えるが,これは桁裏に通された配管を支えるためのもの.
上流側.下流側は配管のおかげでわかりにくかったが,桁はわずかに変断面となっている.
橋脚付近を真横から.橋脚の上に継ぎ目が来るいわゆる単純桁である.橋脚は直線主体の角張った形状となっている.
すぐ上流側に播但線の橋.そちらは次回レポートする.
違う角度から.いい橋だなあと思う.
道路に戻って橋を渡り,右岸の親柱をチェックする.上流側 (南西) は竣工時期.
一方の下流側 (南東・2枚目) は題額なし.しかもコンクリート製である.後年に取換えられたものと思われる.一応形状は他の3基と同様だが,題額までは再現しなかったようだ.
横からの景.
見る人によっては没個性的な橋と映るかもしれない.確かに,特別な架橋技術が用いられたわけではおそらくないし,唯一無二の意匠を有するわけでもない.それでも私にとっては,近代の雰囲気を今に伝える,魅力満点の土木遺産だった.