本ブログ初となる中部地方の記事である.岐阜県大垣市の美濃赤坂駅が,なかなか良い雰囲気の駅だったのでレポートする.
探索日は,老ノ坂隧道と王子橋を訪れたのと同じ日である.王子橋を出た後,京都市内に戻っていくつか用事を済ませたのだが,思いのほか早く終わったので,どこかに行くことにした.今思えば,朝から動き続けて疲れていたはずなのに,自分のことながらよくやるなと思う.ともかく,行きたい場所リストから私が選んだのは,何を思ったのか100km以上離れた美濃赤坂の地であった.目的地は,ここから延びていた貨物線の廃線跡だった (その模様は次回) のだが,探索の起点となる美濃赤坂駅もとても魅力的であったから,短編ではあるがレポートする.
そういう経緯なので,京都駅から新幹線に乗り,米原から東海道線,大垣から美濃赤坂線と乗り継いで,終着駅・美濃赤坂に着いたのは17時前であった.大垣から続く短い支線はここで行き止まりである.
線路の先は道路を挟んで宅地化されているようだ.こういう光景を見ると,きかんしゃトーマスの「あさごはんにおじゃま」という回を思い出す.トーマスが勝手に暴走し,行き止まりの先の民家に突っ込む話である.話が脱線した.…いや,鉄道関係で脱線という言葉を使うのは縁起が悪いな.
さて,美濃赤坂駅の魅力のひとつは,古い駅舎である.
大正8年 (1919年) 開業当初から現役を貫く,木造の駅舎である 1.味わい深い.
駅舎内には,下のような古びた看板があった.
無人駅となって久しいようだ *1 .そして良いフォントである.特に「駅」の略し方が好ましい.
この駅のもうひとつの魅力は,駅構内に広がる貨物ヤードである.
一番右の電車が停まっているところだけが旅客線で,後は全て貨物線である.中央に黒い屋根の大きなホームがあるが,これも貨物の積み下ろしのためのものである *2.
駅の敷地を回り込むように道路が続いていたので,歩いてみた.
広い構内はがらんとしていた.構内の外れに機関車が1台だけ置かれていたが,人気は全くない.そして,貨物ホームの東側 (駅舎と反対側) の線路は剥がされていた.貨物ホーム自体も使われていないように見えた.しかし,その空気は魅力的である.
駅舎と反対側の線路は,1本だけ先に続いていて,踏切があった.
これは西濃鉄道市橋線という,石材輸送の貨物線である.こちらも探索したので,後日記事にする予定である.しかしこの踏切は不思議である.遮断機はないのに,標柱は2本も立っている.たぶん,当初は「とまれみよ」の標柱だけだったのが,後から警報機付きのものを追加で導入したのだろう.
これにて美濃赤坂駅のレポートを終える.古い駅舎もがらんとした貨物ヤードも,どちらもとても良い雰囲気であった.この後は,廃線となった貨物線跡と,現役の貨物線を探索した.
参考文献
- 岐阜県都市政策課 (2015) "033JR美濃赤坂駅 - 岐阜県公式ホームページ(都市政策課)" 2021年5月12日閲覧.
- hotetu.net (2014) "廃線探索 西濃鉄道市橋線(歩鉄の達人)" 2021年5月17日閲覧.