愛媛の旅,2日目.この日最初に訪れたのは,内子町を走るJR内子線のうち,経路変更によって廃線となった区間である.
目次
導入
現在の内子線は,内子駅から長いトンネルで山を突っ切って五十崎駅・喜多山駅へ向かっているが,旧線は山を迂回していた.この線路付け替えに関する経緯はここでは省略する.旧線跡の一部は道路に転用されたが,現在の国道56号より南の部分は,レールも含めて当時の姿がそのままで残されているらしい.レールが残る廃線跡というのは見たことがないので,ワクワクしながら現地へ向かった.
今回の探索では,廃線跡へのアプローチに「遺構巡りと旅日誌」さまの記事 1 を大いに参考にさせていただいた.厚く御礼申し上げます.
廃線ウォーク前半戦
内子駅から,廃線跡と思われる道路を歩くこと15分.この場所から道路を外れた.
奥に見える竹藪の中に線路が眠っている.歩道に向かって右側の草むらに入ると,すぐにこのような分岐が現れる.
左の登る道を進むのだが,前述の記事を見ていなければ確実にわからなかったと思う.登り切ると,目指していた光景が呆気なく見つかった.どうやらこの斜面が旧線の盛り土だったようだ.
草に埋もれつつもはっきり残ったレールが本当に素晴らしい.先に向かう緩やかなカーブがいかにも鉄道らしい.
振り返って一枚.
こちらは整備されていないようで,レールは続いているが藪に埋もれている.このまま進んでも先ほどのストリートビューの地点で行き止まりになることはわかっているので,こちら側の探索は見送った.
さて,喜多山方向へ進む.
うーん良いなあ…
枕木や犬釘も残っている.
木製の枕木が使われているあたりが古い線路という感じがする.経年ゆえにかなり腐食が進んでいる.
だんだん藪が深くなってきた.
まだレールは続いていたが,この先の川を渡る橋梁は撤去されているらしい 1 ので,この辺りで引き返した.
ここまで歩いてきた部分を振り返って.
良い曲線である.
来た道を戻り,国道を西へ進む.よく見ると,ここからでも先ほど歩いた廃線跡が見えていた.
廃線ウォーク後半戦
後半も上述の記事と同じく,この場所からアプローチした.
歩道から分かれる緑に覆われた道 (階段) である.藪漕ぎを覚悟したが道は明瞭で *1,5分もしないうちに旧線跡に到達した.
こちらは前半部分よりよく刈り払いされており,綺麗な状態であった.下草がないと非常に歩きやすい.
レールのすぐ脇に生えた樹木.
確かにここが廃線跡であることを物語っている.
かわいらしい貨車.
ここを整備してくださっている方々のものであろう.ありがたや.
そして,行き止まり.
「歩鉄の達人」さまの記事 2 によると「五十崎隧道」とのこと.隧道手前の法面が大きく崩れており,地質の悪さを感じさせる.崩れた土砂に混ざってゴミも散乱しており見苦しい.ポイ捨てダメ絶対.
鉄道トンネルらしい断面の小ささとコンクリートによる閉塞でわかりにくいが,ポータルは切石造りのようだ.
なお「行けるところまで」と思って閉塞壁のすぐ手前まで進んでみたが,隧道内からの出水もかなりあるようで,路面は酷い泥濘であった.黒い靴が黄土色になってしまった.隧道への接近はおすすめしない.
ともかく,ここまで歩いてきた線路跡を振り返る.
美しい廃線跡であった.
この後は引き返して道路に復帰し,五十崎駅まで歩いた.内子駅を出発してから1時間20分程度の道のりであった.
参考文献
- chinu (2019) "旧内子線の廃線跡散策は思いのほか難しかった―遺構巡りと旅日誌" 2021年5月5日閲覧.
- hotetu.net (2016) "廃線探索 内子線旧線(歩鉄の達人)" 2021年5月5日閲覧.
*1:夏場だとそう簡単にはいかないかもしれない.階段を下り切った先で左に曲がり,右手に池を見ながら進む.