橋梁レポート第二弾.今回も京都市内だが,より市街地に近い,叡山ケーブル八瀬駅前の「西塔橋」を訪問した.
ケーブル八瀬駅から,バス停のある国道367号に出るためには,以下の写真のような橋で川を渡ることになる.
一見,欄干がやや古風なくらいで,何の変哲もない橋である.しかし,横から見てみると,見事な2連アーチ橋である.
特筆すべきは中央の橋脚が,河原の大岩に据え付けられていることであろう.地震でも起これば橋が折れそうに思えてしまうが,これだけ大きな岩なら動かないだろうという判断だろうか?
親柱は4本とも現存.嬉しい限りである.
下の方が隠れているが,順に「西塔橋」「さいとふはし」「高野川」「大正十三年〜 月」(読み取れず).記事タイトルにもある西塔橋というのがこの橋の名前である.竣工は鉄筋コンクリート黎明期の大正13年 (1924年) で,まもなく御年100歳になるが,まだまだ現役である.ちなみにケーブル八瀬駅の開業はその翌年で,当初は「西塔橋駅」を名乗っていた.当時,橋とケーブル線を描いた絵葉書がいくつも発行されたようだ (参考).
駅側には橋の下に至る踏み跡があったので辿ってみた.
こうして見るとやはり100年での風化は隠しきれない.コンクリートが剥げて鉄骨が剥き出しになっている箇所が多数ある.現在でも自動車が通行可能な橋だが,国道側には「重量制限!3t以上の通行は出来ません」という看板がある.
点検作業員によるものと思われるチョークでの書き込みが多数ある.
この橋を維持するための懸命の努力を感じる*1.
橋の基部に引っかかっている岩.
竣工当初からのものだったりするのだろうか?川面に白く写っているのはしぶきではなく,桜の花びらである.
最後に,真横から.
笹に遮られてはいるが,見事な造形である.
存分に眺めてからこの橋を後にし,八瀬比叡山口駅から叡山電車で次の目的地へ向かった.
おまけ
この日私は,坂本ケーブルで比叡山に登り,そこから山内バス・ロープウェイ・叡山ケーブルと乗り継いで西塔橋へやって来た.道中は大正14年竣工のケーブル坂本駅舎など見どころが多く楽しかったが,とりわけ印象に残ったのは,坂本ケーブルの途中のトンネルであった.
予期していなかったので酷い写真だが,なかなか良い石造り隧道である.調べたところ「ほうらい丘トンネル」というらしい.ここもいずれ訪問したいと思う.